ワクチン接種は、伝染病を予防する・重症化させない為に不可欠なものです。
ワクチンの効果を最大限にするには、いつ接種するかのタイミングが重要です。
特に子犬の場合は、生まれる時に親から貰った免疫(移行抗体)が残っているので、これが切れる時期を見計らってワクチンを接種することが大切です。
また、健康状態や体質によっては副作用の危険や十分な免疫を獲得できない場合もありますので、ワクチンの前に健康状態を確認させていただきます。
生後42日〜60日からスタートして1ヶ月ごとに計3 回のワクチン接種をお勧めします。それ以降は、毎年一回の追加接種を行います。
その時点でワクチンを接種し、その4週間後に2回目の接種をします。
それ以降は毎年1回の追加接種を行います。
犬パルボウィルス 感染症 |
食欲がなくなり、衰弱して発熱や嘔吐、激しい下痢がみられます。重症になると脱水症状が進み、短時間で死亡することもあります。伝染力が強く、死亡率の高い病気です。 |
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犬ジステンバー | 高熱、目ヤニ、鼻水が出て、元気や食欲がなくなります。嘔吐や下痢をしたり、ふるえやケイレンなどの神経症状を起こす場合もあります。麻痺などの後遺症が残る場合があります。死亡率の高い病気です。 |
犬伝染性肝炎 | 発熱、腹痛、嘔吐、下痢が見られ、元気や食欲がなくなります。時には目が白く濁ることもあります。症状の程度は様々ですが、全く症状を示すことなく突然死することもある恐ろしい伝染病です。 |
犬アデノウィルス 2型感染症 |
発熱、食欲不振、くしゃみ、鼻水のほか、短く乾いた咳がみられ、肺炎を起こすこともあります。他のウィルスや細菌との混合感染により症状が重くなり、死亡率が高くなる呼吸器病です。 |
犬パラインフルエンザ ウィルス感染症 |
鼻水や咳、発熱などがみられます。犬アデノウイルス2型など他のウイルスや細菌との混合感染や二次感染が起こると重症になり、死亡することもあります。伝染性が非常に強い病気です。 |
犬コロナウイルス 感染症 |
主に嘔吐や下痢を起こします。犬パルボウイルスなど他のウイルスと混合感染すると症状が重症化します。 |
犬レプトスピラ 感染症 |
レプトスピラという細菌の感染が原因で、カニコーラ型、ヘブドマディス型、コペンハーゲニー型などがあります。嘔吐、下痢、黄疸、多飲多尿など消化器疾患、肝疾患、腎疾患に関連する多くの症状がみられます。人にも感染する恐ろしい病気です(人獣共通感染症)。 |
この中で非常に重篤ですべての犬に接種が勧められる(コアワクチン)ものはジステンパー・アデノ・パルボウイルスです。これらはすべて6種ワクチンに含まれています。
9種ワクチンに含まれるレプトスピラ症は、げっ歯類(ネズミなど)の排泄物から感染する人畜共通感染症で非常に重要な病気ですので、6種にするか9種にするかはワンちゃんの生活環境によって検討が必要だと思います。
三重県ではレプトスピラ症の発生報告が過去にあるため、当院では通常は9種ワクチンをおすすめしていますが、ほとんど外出しないようなワンちゃんやワクチンアレルギーの可能性がある場合は6種ワクチンをおすすめしています。
ワクチン接種後にアレルギー反応を起こす事がまれにあります。
可能性は低いながら、アナフィラキシーショック(血圧低下)という重篤なアレルギー反応を起こす事もあり、これは緊急治療をしないと命にかかわります。アナフィラキシーショックは通常接種直後〜30分以内に発生しますのでワクチン接種の後はしばらく院内、もしくは病院の近くで様子をみていただくのが安全だと思います。
その他の反応として、顔が腫れる(血管浮腫)、蕁麻疹、発熱、元気消失、注射部位の疼痛や硬結があります。
これらの反応は遅いと半日〜1日位経ってから症状が出る事もありますのでワクチンはなるべく午前中に接種する事をお勧めします(夕方接種すると深夜に症状が出てしまう可能性があります)。
ワクチン当日はワクチンアレルギーの症状がでないか、帰宅後も様子を見てあげてください。
注射後2〜3日間は安静につとめ、激しい運動、シャンプーなどは控えてください。
免疫(予防効果)が得られるまでの2週間は、他の動物との接触を控えてください。
当院では狂犬病予防注射と混合ワクチンの同時接種は基本的に行っていません。
狂犬病ワクチン(不活化ワクチン)後は1週間以上、混合ワクチン(生ワクチン含む)後は4週間以上間隔を空けて他ワクチンを接種できます。